株式投資の基本として「長期・積立・分散」が王道の投資法と言われています。
経済は長期的には発展していくので、一時的な暴落があっても20年・30年というスパンで見れば、右肩上がりになっている、というのがその理由です。

長期・積立・分散が当てはまらないケース

「長期・積立・分散」が当てはまらない(右か上がりの相場でない場合)もあります。

まずは日経平均株価がそうでした。
1989年の高値を超えるまで35年もかかっています。

2012年末のアベノミクスまでの相場は右肩下がりであり、1980年代から日経平均株価に連動するファンドに積立投資をしていたら、ずっと含み損を抱えたままだったはずです。その間に亡くなったり、運用をやめてしまったり、損切りをされた方も多くいたことでしょう。

1980年代から積み立て運用をしていた方がようやく黒字に転化できたのは、おそらく2017年以降ではないでしょうか?その間30年以上もあったわけです。人が元気に生きられる年齢を考えた場合、20代の若い方以外は果たして耐えることが出来たのでしょうか?
最終的には良かったとしても、30年後にようやくプラスに転化すると予め知っていたら、もっと別の運用をしたのではないでしょうか?

このように、特定の一国だけを見た場合は、タイミング的に「長期・積立・分散」は必ずしも当てはまらない場合もあります。

個別株投資はどうなのか

次に個別株投資についてですが、特定の銘柄のみを長期的にホールドする方法はあまりおすすめできません。

どんな大企業でも業績が右肩上がりということは、なかなかないからです。一時的な不調(減益・下方修正)はどんな会社にでもあり、株価を大きく下げる要因となります。

上の30年チャートは、航空会社大手の9202ANAホールディングス(全日空)です。もしこの銘柄を一度も売らずに定期的に買い増ししていた場合、全く儲からないだけでなく、他のポートフォリオの足手まといになっていることでしょう。

配当利回りが現時点で1.76%と低配当であり、長期保有するメリットはありません。「飛行機をよく使う人には株主優待がもらえていいのでは?」という方もおられますが、株主優待をもらうよりもキャンペーン価格でチケットを購入する方がずっと安く買えるので、個人的には面白みがないと言えます。

このようにもしANAの銘柄で取引するならば、長期・積立は合わず、むしろ長くボックス相場が続いていることから、2000円近辺で買い、4000円前後で売却というように、売り買いでキャピタルゲインを狙う投資方法が合っていると言えます。

続いて医薬品大手の4523エーザイの30年チャートも見てみましょう。

もし2000年前後から長期・積立をした場合、現時点では利益が出ています。しかし2015年以降はかなり激しい相場となっており、明らかに売り買いした投資の方が大きなリターンを得られていると言えます。

まとめ

結論として、何が何でも「長期・積立・分散」というやり方はなく、投資対象によって投資法を変える、というのが一番理にかなっていると言えます。

  • 長期・積立・分散が合う投資
    オルカンのような全世界を対象とするインデックス投資。
    経済は全世界規模で発展していき、時代によってのし上がっていく国は変わります。今はアメリカが圧倒的に強いのですが30年後は分かりません。オルカンならその時々に銘柄の組み換えがありますので、このような全世界系ファンドに投資することによって「長期・積立・分散」が活きてきます。
  • 定期的に売買した方がいい投資
    個別株。企業には好不調の波があり、チャートも必ずしも右肩上がりとは限らない。
    個別株は上昇して含み益がそれなりに出たら、利益確定をした方が良い。